IYAインターン_トイレット博物館訪問
インドでは毎日新たな発見がありネタが尽きません。先週は2014年のKdhamでCCYを受講した時のクラスメイトAnushreeに再会しました。彼女もその後ジャイプール大学のM.A inYogaを修了しヨーガ指導を続けています。今後YCBのYogaMasterも受験予定です。同じ枠組みで学歴化に沿ってきていることもあり、話のネタが尽きません。この先のPh.Dも視野にれながら、同じ方向にに進む仲間がデリーに増えました。
そんなAnushreeと向かったのニューデリーから地下鉄で1時間ほどのDwarka地区にあるToilet Musium/トイレ博物館です。Googleマップで見かけていたので気になってはいたのですが、ちょうど待ち合わせの駅の近くにあるということで行ってみることにしました。
到着すると便器の模型が沢山並んでいます。その光景に二人で爆笑していましたが、この頃はまだこの博物館の本当の素晴らしさに気づいていませんでした。
展示コーナーに入っていくと、インダス文明時代からのトイレについて展示や説明があります。年代順に古代、中世、現代と年代順に配置され、さらには世界50カ国からの展示がしてあります。インダス文明の遺跡にみられるトイレから、便器の登場、そしてウォッシュレットに至るまで、まさにトイレの歴史を見ながら関連技術の発展を見ることができます。
こちらはテーブル兼トイレで食事中は蓋をした状態でテーブルとして使用していたと。
こちらはフランスのルイ14世が使っていたというトイレ、椅子と兼用です。来客中や裁判中などの退席しない為にこのようになっていたとのこと。
こちらはカジノ中に退席しないためのトイレ。
こちらは和式トイレですが、足首に負担がかからないよう足元の角度を改良してあります。
こちらは水がない地域においてソーラーエネルギーで水を使わずに乾燥させるトイレ。
まだまだ多くの珍しいトイレが展示してありました。
しかしここはただトイレが展示してあるだけではありません。インドでトイレといえば、モーディー首相が衛生改善運動「クリーン・インディア」の合言葉で農村でのトイレ普及率を高める活動を推進していることが有名です。しかし、このトイレに関しては非政府組織(NGO)「スラバ・インターナショナル・ソーシャル・サービス」の創設者であるビンデーシュワル・パタック氏なしには語ることができないことを学びました。パタック氏はインド政府からパドマ・ブーシャン賞も授与されています。
トイレの普及により路上排泄が減り衛生状態が向上するほか、女性の夜間の安全も含め公衆衛生が向上します。また農村地域ではトイレ設置だけでなく、水洗トイレの使用が維持できるように村民へ衛生面に関する教育もおこなっているとのこと。またカースト制度とも関わり排泄処理を担う「不可触民」をなくす活動もしているとのことでした。
そしてここからは水の話が続きます。インドでは飲料水の水質が悪く貧しい地域では特に皮膚病や癌の原因にもなっています。そこでこの「スラバ・インターナショナル・ソーシャル・サービス」では、水を節水できるようなトイレの構造/機能の開発や、安全な飲料水の確保のためのフィルター機能の整備などに取り組み、疾患予防や改善に取り組んできたとのビデオ解説がありました。
また人の尿をリサイクルして飲み水にするシステムや、人糞を燃料として電力等に変換するシステムが使われていました。
人の尿を飲み水にするシステムは宇宙空間でも使用されているとのこと。例えばペットボトルの水は1リットル20ルピー(日本円30-40円くらい)ですが、この人尿をリサイクルした飲料水はWATER ATMにて1リットル2ルピーで購入することができます。ミネラルなどが維持されるので健康にも良いとのことでした。この値段だと貧しい方も少なくともフィルターの通った水を飲むことができます。
これも機会ということで1杯いただきました。通常の水より甘味があるように感じました。
気候の厳しく、貧富差の激しい環境において、工夫を凝らしながら自然と人が一体となった持続可能な水の循環システムを構築するという技術革新に感銘を受けました。また一方で日本は環境的にも恵まれた国だということも再認識しました。
また今回のインドでは公衆トイレが比較的整ってきているように感じていましたが、背景にある尽力を目の当たりにすることで感謝が増します。
トイレット博物館、軽い気持ちの訪問で沢山並んだ便器を見ての爆笑から始まりましたが、環境問題、女性の安全、公衆衛生、技術革新など様々なことを考える機会になりました。本当にありがとうございます。
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