国際ヨーガ・デーとヨーガ・プロトコール
ヨーガを実習している皆さん、6月21日が「国際ヨーガ・デー」というのはご存知でしょうか?? (同じ内容でYouTube動画をアップしています、リンクは最後へ)
最近では日本でもこの「国際ヨーガ・デー」の祝賀として、インド大使館や各種ヨーガ団体が協力しながら様々なイベントが行われています。今年2023年もインド大使館を中心として”ヒマラヤと富士山を繋ぐ”というタイトルで各種イベントが計画されています。
先日こちらもインド大使館でのミーティングに参加してきました。
「国際ヨーガ・デー」の制定は2014 年 9 月 27 日に開催された第 69 回国連総会(UNGA)でインドのナレーンドラ・モーディー首相が国際社会に向け以下のように呼びかけました。
「 ヨーガは身体と心、思考と行動、抑制と充実を統合し、人と自然との調和、健康と幸福への全人的なアプローチを実現する。ヨーガは単なるエクササイズではなく、自分や、世界、そして大自然と一体であることに気付く手段です。ライフスライルを変容し意識を高めることで、気候変動への対策にも役立つ。”国際ヨーガの日”の制定に向けて歩んでいきましょう。」と世界に訴えかけました。
そして異例の3ヶ月というスピーとで、2014 年 12 月 11 日国連加盟国 193 カ国の内 177 か国の共同提案国の合意により 6 月 21 日を「国際ヨーガの日」とする決議が採択されました。
そしてAYUSH 省は、翌年2015 年 6 月 21 日にニューデリーのラージパタで第 1 回国際ヨ ーガ・デーの祝賀を開催。このときのヨーガ・セッションは最大規模の参加者 35,985 人と国籍数(84 カ国)という2つの点においてギネス世界記録に認定されています。
その後も毎年その規模は世界中で拡大し、日本でも認知が拡大してきていると言えます。
それではここでもう一つ質問です。『ヨーガ・プロトコール/Common Yoga Protocol』というものをご存知でしょうか? このヨーガ・プロトコールは、2015年の第一回国際ヨーガの日の祝賀に合わせてインド政府の統合医療の省庁であるAYUSH省および国立ヨーガ研究所が主体となって作成されたヨーガについてのブックレットです。
URL: https://yoga.ayush.gov.in/public/assets/front/pdf/CYPEnglishLeaflet.pdf
この中には以下についての簡単な説明が記載されています。
- ヨーガの定義、
- ヨーガの歴史と発展、
- ヨーガの基礎、
- 伝統的なヨーガの流派、
- 健康とウェルネスのためのヨーガの実践、
- ヨーガ実習のための一般的ガイドライン、
- 健康な心のための食事、
- ヨーガがどのように役立つか、
ブックレットなので簡単ではありますが、これがヨーガ本家であるインドが示したヨーガの基礎基盤となります。そしてここにはインド哲学を基盤として発展してきたヨーガの実習体系についても説明されています。パタンジャリのアシュターンガ・ヨーガというものです。
またこのブックレットには45分のヨーガ・セッションが記載されています。
このヨーガ・セッションは、8ステップで構成されています。8ステップとは1.祈り、2.準備体操、3.アーサナ、4.クリヤー、5.プラーナーヤーマ、6.ディヤーナ、7.サンカルパ、8.平和への祈り、シャーンティ・パータです。
特にこのアーサナ、プラーナーヤーマ、ディヤーナはヨーガの主要な実習の構成要素で、
アーサナで身体を整え、筋肉レベルでの余分な緊張を落とします。プラーナーヤーマで呼吸および自律神経を整えます。それと同時に心が落ち着いていきます。そしてディヤーナ、瞑想では落ち着いた専心した心とともに自分自身と向き合っていきます。
ヨーガ実習には様々なスタイルがありますが、内容が身体的エクササイズのみに偏り、呼吸法や瞑想の側面が抜け落ちていたり、ヨーガ実習はそもそもインドのヨーガ哲学にそのルーツをもっているということが知られていないことがあります。このプロトコールは、どんなスタイルのヨーガを実習している場合にも、共通認識しておくべき内容です。
近年「国際ヨーガ・デー」についてはイベントとして認知されてきても、そこで実習されているのがこの『ヨーガ・プロトコール』実習だとはまだ知られていないことが多いのではないでしょうか。国際ヨーガ・デーは、この『ヨーガ・プロトコール』を皆で実習してお祝いをする日なのです。2021年第7回国際ヨーガの日には、この『ヨーガ・プロトコール』をもとに、WHOがインドAYUSH省と協同でヨーガの実習アプリであるmYoga Appをリリースしています。
2015年からインドでは政府主導のヨーガ資格制度も始まっており、その中には「ヨーガ・プロトコール・インストラクター」というものがあります。これはこの「ヨーガ・プロトコール」を指導できるという認定資格です。
ヨーガの本家インドでは、ヨーガの規格化/資格化/学歴化が急ピッチで進んでいます。
資格化に関しては、一般的なヨーガ講師、ヨーガ・セラピスト、学校教育の場におけるヨーガ講師といった3分野での資格が整えられています。また並行してインド国内の各大学にヨーガ学科の新設が推進されています。インド政府主導のヨーガ資格制度についてはまた改めて解説していきたいと思います。
今日は2015年から始まった国際ヨーガの日、そしてその国際ヨーガの日に実習される「ヨーガ・プロトコール」についての説明でした。インド発祥のヨーガを学ぶということ、その入り口がはっきりしてきていると言えると思います。
もうすぐこのヨーガ・プロトコールをベースとした初めての方への講座を開催します。
ぜひこちらもチェックをしてみてください。
0コメント