ヨーガの浄化法と自律神経系(トラータカを中心に)

ここ2〜3週間は、ひたすら「自律神経」と向き合ってきたように思います。

昨年タイでのヨーガ合宿に参加して、トラータカ(眼の浄化法)は「眼の瞬き反射と大脳によるコントロールのせめぎ合い」だと先生がおっしゃってました。

さらには、クリヤ(浄化法)は反射神経の最適化であると。

ずっとこの言葉が頭に残っており、どういうことなのかと。

その答えが、自律神経系を勉強することによって解決されました。


まずトラータカとは、ろうそくの燃える炎を瞬きせずに眺めることで、涙が出る反射を起こすことで眼に関連する神経を浄化する方法です。

シャットクリヤというヨーガの6つの代表的な浄化法の一つです。


眼に関連する神経は、12種類ある脳神経の中でも、視覚を司る視神経と、眼の動きを司る動眼神経、滑車神経、外転神経という3つの神経に関わっています。さらには顔面神経(脳神経Ⅶ)が涙液の分泌に関わりを持っています。


その中でも、動眼神経と顔面神経は、それぞれ運動神経、感覚神経、および副交感神経によって構成されています。


運動神経は、大脳皮質と直結し、意識的に眼を動かすことに関しています。

感覚神経は、感覚を受容し、視覚や眼の張力受容器の興奮を脳へ伝えます。

副交感神経は、無意識下で遠近の調整や涙液の分泌に関わっています。


ここで一般的な副交感神経の働きを振り返ってみます。

副交感神経は、交感神経と対となり、Fight(闘争) or Flight(逃走)と言われるように、その拮抗的な作用により、主に心臓やその他の内臓、および腺における恒常性の維持・抑制を担っています。

交感神経は、ヨーガやリラックスの分野では興奮を助長するものとして嫌煙されがちですが、実は内部環境の危険な変化を防ぐために、すばやく直接的に働いて恒常性を維持してくれており、恒常性のメインを担っている神経です。


それに対して、副交感神経は交感神経の過度な興奮を抑制する作用があります。

しかしそれだけに留まらず、副交感神経の特徴的な作用として、身体を守り・安全を保つ一群の反射作用を行う。老廃物を除去し、個体の自由な働きを妨げ限定する堆積物を排出して、恒常性を維持する働きがあったのです。


副交感神経は、身体の様々な反射作用に関わっており、さらに老廃物を除去する作用を担っているというのです。まさにデトックスに副交感神経はなくてはならない存在なんですね。

例えば、排泄機能で言えば、直腸に排便が溜まることで直腸反射がおきて排便が促されます。これを眼に置き換えると、顔面神経の流涙反射も、副交感神経の働きであるということが理解できると思います。


しかし、排便、排尿でも分かるように反射が起きても、私たちは意識的・努力的に排便を我慢することが出来ます。それは大脳の働きによるものです。

便意があっても、慌ただしい朝に時間がなく、一生懸命に排便を我慢する。そんな日が続くと、慢性的に便秘になって本来体外に出すべき排泄物が身体の中に溜まってしまいます。

それと同じように、涙を流す反射が起こっても、それを大脳により塞き止めをしていると、出すべき涙が溜まって「涙の便秘状態」になってしまうのです。


そこで眼の反射機能を最適化するべく、浄化法が存在するのだという理解が出来てきました。しかも、脳神経には交感神経が存在しません。よって流涙反射を司る副交感神経と、大脳の直接対決というわけです。

適切な副交感神経の反射作用を、大脳で抑制しないよう努力を緩めることが必要になってくるのです。


このような脳神経や仙骨部の神経の大部分である副交感神経は、原則として交感神経よりも、脳・脊髄神経の働きが介入する余地が遥かに多いと言われています。

思えば、シャットクリヤの浄化も、鼻の浄化はくしゃみの反射、胃の浄化は嘔吐反射、腸の浄化は骨盤底の反射…と確かにそれぞれ反射作用と対応していることがやっと腑に落ちてきました。


一概に「浄化」という認識でいましたが、各臓器に作用している副交感神経を、反射作用を起こすことで活性化することにより、適切な腺分泌等の機能を取り戻し最適化していく作業であったんですね。

最近毎日トラータカを続けていますが、眼の疲労がとれてきています。ついでにお通じもいい感じです。最近行った整体師の方に「眼の神経と小腸は繋がっている」と教えていただいたのですが、そのことを実感しています。


副交感神経および自律神経系の奥深さに驚きです。


・ 脳神経には交感神経がないこと。

・ 脳神経と仙骨神経は副交感神経、胸腹神経は交感神経。

・ 仙骨神経や脳神経の多くは、横紋筋員囲まれた体外への開口に関係しており、原則として交感神経よりも、脳・脊髄神経系の介入する余地がはるかに多い。

これらのことも結構驚きでした。


同時並行で、腸の自律神経系についても勉強していますが、こちらもめちゃくちゃ奥深いです。またの機会に記述していければと思います。

ヨーガとサイエンス。繋がるとさらに面白いですね。

興味は尽きません。


参考文献:

人体の構造と機能 放送大学教材

からだの知恵 この不思議な働き WBキャノン

内臓感覚 NHKbook

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