インドから見た現代ヨーガの動向と次世代のヨーガ

先日パタンジャリ・ジャパン・ファウンデーションさんの第8回国際ヨーガの日のイベントの中でプネー大学在学中に書いた修士論文「東京首都圏の働く女性の健康管理へのヨーガ実習の役割」の発表をさせていただきました。

そこでは論文の発表だけでなくなぜこのタイトルを選択したのか、その背景となるインドで起こっている現代ヨーガの動向の紹介も含んでいます。

発表内容はパタンジャリ・ジャパン・ファウンデーションさんのYouTubeに上がっています。ご興味のある方は動画と共にご覧いただければと思います。


以下に動画の前半部分のポイントを箇条書きに示していきます。

• 2014年国連総会にてインド首相であるナーレーンドラ・モーディー首相の演説に対し国連加盟国193カ国の内177か国の共同提案国の合意により6月21日を「国際ヨーガ・デー」とする決議が採択されました。

• モーディー首相は国連の場において「ヨーガは古代インドの伝統が生んだかけがえのない贈り物であり・・・中略・・・健康と幸福へのホリスティックなアプローチを実現する。」と演説し、病気の予防、健康の増進、および生活習慣病を管理に有効なヨーガのホリスティックなアプローチを広く普及させていくことが世界的に承認されました。

• 実はこの背景には1960年代以降のアメリカでのヒッピームーブメントやフィットネス・ブームなども強く影響しています。

• 2015年より始まった「国際ヨーガ・デー/IDY」の祝賀ではインド国内外で数々のワークショップやヨーガ・プロトコール/CYP実習が行われその規模はさらに拡大してきています。

以下のリンクは、WHO mYogaAppにもなっているヨーガ・プロトコールの日本語実習です。

• 2021年第7回IDYには、WHOとインド政府AYUSH省が共同でmYogaAppというヨーガの実習アプリをリリースしています。伝統補完医療分野においてもヨーガへの注目が高まっており、2022年4月にはWHOの伝統補完医療グローバルセンターがインド国内に設立され、WHOによるヨーガ分野のベンチマークの作成も進行しています。


• インド国内では2008年から国立ヨーガ研究所/MDNIYが主体となってヨーガの基準化を開始しており、2015年からヨーガ教育の統一資格制度化が始まっています。今はMDNIY内のヨーガ教育委員会/Yoga Certification Boardが検定試験を運営しています。 https://yogacertificationboard.nic.in/?fbclid=IwAR34KGOSf79qo1YS3BcNLxd7XPCAPVR0TuIz8bJAmwzubaigAV6VRG0cnXg


• 日本においても全日本ヨガ検定協会/The Yoga Organization of Japanとヨーガ療法学会(インドバンガロール/バンガルルにあるSwami Vivekananda Yoga Anusandhana Samsthana/SVYASAと提携する日本の団体)によって試験が運営されています。

• 一方日本のヨーガ史においては、1919年の中村天風が日本にインド発祥の心身統一技法としてのヨーガを紹介したこと(天風ヨガ)がヨーガ受容の始まりと言われています。

• その後1970年-1980年代にかけて、沖正仁が日本の身体鍛錬術の系譜に沖式のヨーガを加え(沖ヨガ)、佐保田鶴治が日本仏教の精神性とヨーガを統合しようと試みてきました(ヨーガ禅)

• また本山博はヨーガの超心理学的研究を進めていきました。

• その後1995年のオウム真理教による数々の事件により、ヨーガ道場の多くが閉鎖となりヨーガの人気は停滞してしまいました。しかしその後もヨーガへの根強い関心は途絶えることはありませんでした。

• 2003年以降にはアメリカを中心に流行していたフィットネス系ヨーガが輸入され女性を中心にヨーガ人口は増え、多くのスタジオや施設を始め様々な場所でヨーガ実習が行われています。

• 現在ヨーガはさらに多様性を帯び、現代社会のニーズに即した形で存在しているとも言えます。しかしその一方でフィットネス面のみが前面に出ていたり、インド哲学に基づくヨーガの原理原則が見失われてしまっていることがあります。

• そこでインド、日本、そして世界におけるヨーガの変遷を経て、現在日本におけるヨーガ実習者のヨーガ実習の目的や実習状況、また健康管理へのヨーガ実習の役割を修士論文のテーマとして検討していきました。


修士論文の内容は次ののページにて・・・




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